最近の昼食事情 -診断士から見た顧客回転率と店舗オペレーション-

最近、テレワークから出社勤務へと変わりつつある。社内食堂がない弊社にとって、昼食は考えるところ。専らコンビニやテイクアウトで済ます同僚も多いが、やはり昼食くらいはリフレッシュを兼ねて外に出て食べたい。
……とは言うものの、最近の物価高、毎回の外食は懐も気になる。そんな中、チェーン展開している店は非常にありがたい。うどん、そば等の麺類、丼物、定食まで、幅広く、そして値段も味も満足できる。さらに、限られた昼食時間、効率的に時間も使いたい。

さて、今回は昼時のランチ事情で、近隣チェーン店の業務効率と顧客回転率について気づいたことを診断士の目線からご紹介したい。なお、どのチェーン店もそれぞれ戦略がしっかりしているので、筆者がこの分野に踏み込むものではなく、あくまで個人的な感想を述べるにとどめたい。

いつもながら、どの店も昼の12時前後は非常に混みあっており、入口付近で順番待ちの店もある。店側も稼ぎ時であり、いろんな工夫が見られる。
ふと見ると、最近ではほとんどの店に券売機がおいてあり、チケットを購入すれば、店員への注文も不要(チケットを渡すのみ)、精算も券売機に金銭を投入した時点で終了、さらにはオーダーの聞き間違えもなくなり、店側も少ない人員で料理を提供することに注力でき、昼時の業務効率と顧客回転率を上げるには重要な戦力となりつつある。

一方、券売機を置いていないチェーン店もある。筆者が勤務する界隈では、うどんのH、牛丼のYなどといったところか?いずれも全国展開している大手のチェーン店である。昼時の稼ぎ時、どの店も効率的に店舗運営をしたいと考える中、敢えて券売機を設置していない店を覗いてみた。

まずは、うどんのH。
入口を入ると自らトレーをとり、必要に応じて天ぷら、おにぎり等を選択し、皿に置く、その後、好きなうどんを料理人に告げる。そうすると料理人はうどん、だしを丼に入れ、顧客のトレーに丼を置く、顧客はトレーに置かれた丼と自ら選択した皿を会計担当者に見せると、会計担当者が金額を告げてその場で精算する。
この一連の流れが非常にスムーズで工場の流れ作業のように進み、顧客の回転が良い。店舗レイアウトが良くできており、顧客導線もシンプルである。
テーブルは壁に向かっての1人掛け、あるいはテーブル席の真ん中に向かいの顔が見えないように設計された衝立があり、これなら女性の1人客も食事できそうだ。
特に感心したのは会計担当者が、トレーに置かれたうどんの丼と皿に置かれた天ぷら等を見た瞬間、瞬時に値段を告げることである。レジも工夫されているのか?

次に牛丼のY。
ここは「はやい、うまい、やすい。」のキャッチコピーが有名なチェーン店。席について店員に自分の好きなものを注文し、注文したものが提供されたときにバーコード付きの伝票が一緒に渡され、食べ終わった後に精算する方式。
一見、効率性は劣るように見えるが、同社のホームページを見ると、券売機を敢えておかない理由が明確に記載されていた。
店舗レイアウトはコの字型カウンターのみでテーブル席は見当たらない。顧客とのコミュニケーションを重視することと、定員の導線を極力短くするための工夫がなされている。
なお、昼食時の顧客層は、殆どが男性の個人顧客で、注文は殆どが牛丼(同店はセットメニューも提供されているが)である。顧客回転率は頗る良い。
最近、Yについては黒色看板やテーブル席を設置した落ち着いた雰囲気の店舗も見かけるが、個人的にはオレンジ色の看板のスタイルが筆者は好きだ。

 

ところで、券売機に加え、最近はタブレット端末で注文する方式を取り入れているところもある。
詳細は別の機会に譲るが、先日、会社の近くに落ち着いた雰囲気のパスタの店が出店したため同僚と訪れた。店員は我々を席に案内するだけで、注文はタブレットからQRコードを読み通ってしてほしいとのこと。QRコードを読み取り注文を試みたが、数回トライしてもうまく注文できない。仕方なく店員を呼び事情を説明すると、店員はQRコードから注文までの方法を目の前で丁寧に説明してくれた。注文方法を教えてもらうより、直接、料理の注文を聞いてくれた方がはるかに早いのではと思うのは我々だけだろうか?
その反面、最近では飲食店の店員にとって、店のメニューを把握するより、IT音痴な顧客のために注文する方法を把握しておくほうが、はるかに重要なのであろうか? ペンネーム:KOBA

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