中小企業の後継者難が当たり前の様に語られはじめて久しくなります。60%以上の中小企業が後継者不在です。
一方、日本企業の99%を占める中小企業は、雇用の担い手として日本を支える重要な存在であり、地方ではコミュニティーを支える存在でもあります。そのため、中小企業の事業承継は日本社会にとって大変重要です。
事業承継には大きく分けて次の3つの形態があります。
①親族内承継(現経営者の子供、親族に承継)
②従業員承継(親族以外の従業員に承継)
③M&A(社外の第三者への株式譲渡、事業譲渡による承継)
従来は①親族内承継が多かったのですが、ビジネス環境の変化と経営者になるリスクから、親族に承継するケースが減ってきています。そのため、事業承継税制、承継円滑化法、高度化事業、経営者保証解除による引継ぎの円滑化、等の対応はとられていますが、状況はなかなか好転していません。
その中で、国による事業承継引継ぎ支援センターの全国設置と事業承継・引継ぎ補助金を通じて、特に③M&Aにより事業承継・引継ぎを進めようと努力はされていますが、こちらもなかなかうまくいっていないようで、事業承継・引継ぎ補助金第10回は専門家活用枠(M&Aの買手と売手を対象とする)のみを対象に公募されていました。
従来通りの承継とM&Aがなかなか件数を伸ばせていない中で、事業承継はやはり進まないのでしょうか?
上記しました事業承継・引継ぎ補助金は、経営革新枠、廃業・再チャレンジ枠、上記した専門家活用枠の3つの枠があります。経営革新枠は事業承継・引継ぎを機会に行われる新しい取り組みに補助する枠になります。経営革新枠は交付決定が公開されています。事業の名称と交付申請者名をみると、特にインバウンドで変化の大きい観光業と人手不足とIT化が叫ばれている土木建築業で新しい取り組みを行い事業承継・引継ぎを行う事例が増えています。事業承継・引継ぎは変化の少なかった業界でも、ビジネス環境の変化に合わせた新しい取り組みがあってこそ、うまくいくのではないか、と思わせます。
もし、事業承継・引継ぎを検討されている事業者様がこの文章を読まれる機会がありましたら、当研究会の企業診断システムをご活用いただき、承継に備えていただければ幸いです。 ハンドルネーム:外人同然