今月は、ペンネーム M・Yがお届けします。
今年は何といってもコロナ真っ只中に開催された東京オリンピックから3年が経過して、パリオリンピック・パラリンピックが大勢の観客を入れて開催されたことだと思います。日本の結果は、オリンピックでは金メダル:39個、銀メダル:12個、銅メダル:13個の合計45個のメダルを獲得し、海外開催の大会として過去最多の数となりました。
パリとの時差の関係から生放送で見ることはあまりできませんでしたが、朝テレビをつけると、ちょうど決勝戦でメダル獲得の瞬間を見ることができた競技がいくつかありました。
今回の日本選手の活躍を見ていると強く感じたことは確実に若い選手が活躍しているということです。そして、オリンピックの競技に「スケートボード」、「ブレイキン」、「スポーツクライミング」等、新しい競技が追加され、その競技に日本の若い選手が挑み、メダルを獲得したことは今回の日本のメダル獲得の大きな要因だと思いました。
ここで注目したいことは、既に日本の若い人たちが新しい競技を取り込み、世界レベルに達していることです。とても頼もしく今後の活躍と日本スポーツ界の未来に希望が持てることだと強く思いました。
一方、中小企業を取り巻く環境は大企業を中心に賃上げが実現してきておりますが、依然として中小企業の勢いは不十分と言えません。
その中で注目したニュースがありました。日本の最新の経常収支の数値です。経常収支は、日本が海外との間で取引した収支でどれだけ日本が稼いだのかを示す指標であり、当然
数字が大きい方が稼いだことになります。経常収支は、輸出・輸入の差額と海外旅行・インバウンド旅行で使われた金額の差額やPC関連のソフトウェアの使用料等デジタルサービスの差額である「貿易・サービス収支」、海外に設立した企業からの配当金等の投資収益からなる「第一次所得収支」、政府や個人が無償の援助や寄付金である「第二次所得収支」から成り立っています。
私が若いころには、日本は国内でモノを製造し、海外に輸出をしており「貿易・サービス収支」の黒字が大きかったです。家庭で使う家電製品も国内で製造したものを使っていたことを記憶しています。しかしながら、国内の工場は海外に次々に移転して、国内の工場が減少しています。そのため、現在では、「貿易・サービス収支」は輸出が停滞していると同時にエネルギーの輸入は増加しており赤字続きです。その一方で、海外設立企業からの配当金である「第一次所得収支」は大きな黒字となっています。トータルでは経常収支が伸長しているとはいえず、日本が稼いでいないことになっています。
その中で、中小企業は大企業を得意先としていることが多く、特に製造業の大企業が海外に進出してしまうと海外進出に知見がない中小企業は取り残されることになります。特に注目したいことは、製造業は原材料や部品を他の産業から購入し、それらを加工して他の産業に供給することで産業間の関連性が多く、かつ強いことから国内で稼ぐことができるということです。
中小企業診断士としては、改めて日本の製造業を復活させることで「貿易・サービス収支」を黒字化することに貢献したいという思いがあります。製造業といっても、海外企業と差別化を図れる分野の発掘、新しい技術開発、ハードウェアとソフトウェア・コンテンツの融合ビジネスの創出等、海外企業との競争に打ち勝つために、新しい製造業に変革していく必要があると考えます。
そのためには、オリンピックで活躍した若い人たちが新しい競技を発掘し、いち早く世界のトップレベルに成長できたマインドや目標に向かう行動力等が相当参考になると考えます。ますます若い人たちの力が今後の日本に必要であると思うと同時に、我々診断士の知見を融合させて新しい製造業、産業を作り、稼げる日本にしていくことに貢献したいと今回のオリンピックを通して思いました。